記念誌制作・社史づくりのノウハウが分かる物語イメージ

【登場人物】
山田和夫……都内の企業に勤める28歳のサラリーマン。営業部に所属している。創立50周年に向けた記念誌制作担当者に任じられた。
岡本雄介……42歳男性。かつて編集プロダクションに勤めていたが、脱サラして喫茶店のオーナーに。マスターとして店に立つ毎日を送っている。

記念誌制作物語:第三回 なぜか突然、記念誌担当に‐03

2016/06/20

山田が務める「キノシタ文具」は、従業員100名の文房具メーカーだ。品質の良さには定評があり、紙や印刷にこだわった原稿用紙やノートなどは高額ながら根強いファンが存在する。とは言え、山田が知る限り、これといったヒット商品はなく、他社に比べると、商品のラインアップは地味で、正直、それほど儲かっているわけではない。

そんなことを考えていた山田は「記念誌を作る金があるなら給料上げろや」とつぶやいた。

BGMに流れている曲のトランペットのソロが終わり、テナーサックスのソロに代わったところで、それまで山田の発言にまったく返事をしなかった岡本が突然口を開いた。

「記念誌を作れば、お給料が上がるかもしれませんよ」
「どういうこと?」
「そういうことです」
「なんでマスターにそんなことがわかるの?」
「それは――」

 

小説イラスト03

 

言葉に詰まりながら、岡本は顎に手を当てて、眉間に皺を寄せた。その表情はいかにも神経質そうな男のものである。実際に神経質で几帳面なのだろう。それは清潔感があり、整然とした店内の様子を見れば明らかだ。塵1つ落ちていないし、木製のもので統一されたインテリアは、表面が磨きこまれていて鈍い光を孕んでおり、手入れが行き届いていることを物語っている。

「ま、いいけどさ。でも、なんで記念誌なんか作ろうと思ったんだろ? うちの会社に、後世に残せるような輝かしい歴史があるとは思えないけどさ」と、言葉に詰まった岡本を待たずに、山田は吐き捨てるように言った。

【著者プロフィール】
本間 幹(ほんまもとき)/「本間制作室」の編集、ライター担当。1973年、東京都生まれ。大学卒業後、出版社、広告制作会社勤務を経て、2006年、編集プロダクション入社。旅行誌、情報誌を中心にディレクション、編集、取材、執筆業務に従事する。2011年に編集プロダクション「本間制作室」立ち上げ。現在、ビジネス誌や記念誌・社史の制作に携わる。

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