記念誌制作・社史づくりのノウハウが分かる物語イメージ

【登場人物】
山田和夫……都内の企業に勤める28歳のサラリーマン。営業部に所属している。創立50周年に向けた記念誌制作担当者に任じられた。
岡本雄介……42歳男性。かつて編集プロダクションに勤めていたが、脱サラして喫茶店のオーナーに。マスターとして店に立つ毎日を送っている。

記念誌制作物語:第四回 なぜか突然、記念誌担当に‐04

2016/06/27

「そんなことはありませんよ」と岡本が言う。

すると山田は、「いいよ、そんなおべっかは。でもなんで俺なんだよ。きっと言いやすいところに押し付けただけなんだよ。そうだ、やっぱり断わろう。会社に戻ったら、ビシッとジロウさんに言おう! じゃ、ごちそうさま!」と言い、500円玉をカウンターの上に置いて立ち上がった。

「ありがとうございました」と岡本が言った時には山田の姿はすでにない。

「やれやれ、あの位の歳の頃は、なんでもやったほうがいいと思うんだけど、それがなかなかわからないんだよな。俺もそうだったし――」

岡本は、空になったコーヒーカップを片づけながら、一人つぶやいた。

 

小説イラスト04

 

そして、それから4、5時間ほど経った同じ日の夕方過ぎ、昼休みと同じ席に山田は座っていた。やはり、岡本はコーヒーを淹れている。

「めんどくさいことは全部俺に押し付けて。これじゃ通常業務に差支えが出るし、手当もつかないし、あんまりだよ。ジロウさんは、ニコニコしながら、『言い分は分かるけど、君しかいないからよろしく』の一点張りでさ。あの人、人当たりはいいけど、結局こっちの話聞いてくれない」

首を横にブンブンと振りながら、愚痴る山田の言葉に、岡本は何も答えず、ただ黙々とコーヒーを淹れている。

数分の沈黙の後、「お待たせしました」と言いながら、山田の目の前に岡本はカップを置き、「神谷さんは、とても面倒見の良い方じゃないですか」と言った。「神谷さん」とは、先ほどから「ジロウさん」と呼ばれている山田の直属の上司のようだ。

「あれで面倒見いいの? いい人だとは思うけど。でも女子社員には何も言えなくて、なめられてるくせに、男には強気なんだよな。そういうところにイラッとするんだよ。今日も『もう決まったことだから、どうにもならない。とりあえず来週の月曜に打ち合わせするから、少し勉強しておいて』だって。社内では、誰も記念誌を作った経験がないから独学でやれって、無責任すぎやしない? どうすりゃいんだよ」

【著者プロフィール】
本間 幹(ほんまもとき)/「本間制作室」の編集、ライター担当。1973年、東京都生まれ。大学卒業後、出版社、広告制作会社勤務を経て、2006年、編集プロダクション入社。旅行誌、情報誌を中心にディレクション、編集、取材、執筆業務に従事する。2011年に編集プロダクション「本間制作室」立ち上げ。現在、ビジネス誌や記念誌・社史の制作に携わる。

⇒クリックで、本間制作室の記念誌制作サービスのご案内ページへ

■記念誌物語タイトル一覧へ   « | »