記念誌制作・社史づくりのノウハウが分かる物語イメージ

【登場人物】
山田和夫……都内の企業に勤める28歳のサラリーマン。営業部に所属している。創立50周年に向けた記念誌制作担当者に任じられた。
岡本雄介……42歳男性。かつて編集プロダクションに勤めていたが、脱サラして喫茶店のオーナーに。マスターとして店に立つ毎日を送っている。

記念誌制作物語:第五回 なぜか突然、記念誌担当に‐05

2016/07/04

仏頂面をした山田が一気に話し終えると、岡本はレジの下にあるCDプレーヤーのスイッチを入れた。昼間と同じCDの1曲目がスピーカーから流れる。

「これマイルス・デイビスでしょ?」と山田。
「ご存知でしたか」
「マスター、このCDよくかけるし。有名な曲だよね」
「『So What』ですね」
「確か『So What』って、マイルスの口癖なんだよね。『それがどうした』っていう」
「そうです。よくご存じですね」
「昔、何かの本で読んだ覚えがあるよ。俺、ジャズはあまり聞かないけど、この曲、かっこいいね。なんか、展開とかあまりなくてとらえどころがないけど、雰囲気で聞ける」
「この曲で、マイルスはモード奏法を確立して、それまで主流だったジャズのスタイルを破壊したんです」
「モード奏法?」

 

小説イラスト05

 

「それまでのジャズはコード進行主体のアプローチで、それを推し進めていった結果、同じようなサウンドばかりになってしまいました。そこで、それとは全く逆の発想のアプローチで新しいサウンドを作ろうとしたのです。コード進行を単純化し、音階主体で曲を作っていったんです。これがモード奏法というものですね」
「うーん。理屈はよくわからないけど、なんだか都会的な音だね」
「マイルスは革新者なんです。モード奏法だけでなく、クールジャズ、エレクトリックジャスなど、彼の手によって発展したムーブメントは数多いんです」
「そうなんだ――」

山田は常連だが、岡本と音楽の話をするのはこれがが初めてだった。そして、いつもは口数が少ないこの店のマスターが、音楽の話となると熱っぽく語りだしたので、少しあっけにとられているように見える。

そんな山田の気持ちを察したのか、岡本は少し声のトーンを落としてこういった。

「マイルスのような革新者が、山田さんの会社にもいるかもしれませんよ」

【著者プロフィール】
本間 幹(ほんまもとき)/「本間制作室」の編集、ライター担当。1973年、東京都生まれ。大学卒業後、出版社、広告制作会社勤務を経て、2006年、編集プロダクション入社。旅行誌、情報誌を中心にディレクション、編集、取材、執筆業務に従事する。2011年に編集プロダクション「本間制作室」立ち上げ。現在、ビジネス誌や記念誌・社史の制作に携わる。

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